ひとやすみ




「……あぁ、なぜこのようなことになったのじゃ……」 
竹から産まれ、お爺さんとお婆さんのもとで平穏な暮らしを送っていたかぐや姫は、気がつくと氷の城の中にいた。 
そこは、今まで暮らしていた屋敷とはうってかわって、冷たい恐ろしい所。 
雪の女王と名乗った女性に逆らうこともできず、氷の城を出発したかぐや姫は、月の使者が助けに来てはくれまいかと 
ずっと月を見上げながら歩いていたが、いつまで経っても助けは来ない。 
荷物の入った袋も重く、なにより十二単は非常に歩きにくかったので、休憩して荷物を見てみようと彼女は木の根元に座った。 
「この袋、とても重いぞ……もしや便利なものが入っているかもしれぬな」 
と、期待を込めて袋を開けると…… 
「これはなんじゃ……えーと…か、火炎、放射器?」 
付属の説明書には、その名前と共にこれがどういう道具であるか記されていた。 
「先端から火が吹き出す道具……なんと恐ろしい」 
かぐや姫は、こんな恐ろしい物は捨ててしまおうかとも思ったが、誰かに襲われた時のことを思うと捨てるに捨てられない。 
とは言え、いつも手に持っているのも怖いので、とりあえず袋にしまっておいた。 

重い袋に息を荒げながら、かぐや姫がなんとか歩いていくと、やがて前方に小さな家が見えてきた。 
そこで一休みして水でも飲もう、もう一息だと自分に言い聞かせ、かぐや姫はよたよたと小屋までたどり着いた。 
「ごめんください。……誰も、おらぬのか?」 
そーっと戸を開けるが、やはり中には誰もいない。 
「……お邪魔するぞ」 
一応そう断ってから、かぐや姫はその家に入っていった。 
「ここは……お医者様の家、かの?」 
家の中には薬の臭いが充満しており、また棚にはよく判らない薬壷がたくさん並んでいた。 
かぐや姫はそれらを少し調べてみたところ、鎮痛薬や止血薬などを見つけることができた。 
「お医者様には申し訳ないが、少し頂いていくとしよう。……もしかしたら、使うことになるかもしれぬ」 
いくつかの薬を薬瓶に入れて袋にしまうと、かぐや姫は窓から外を見た。 
海が近いのか、潮の香がする。 
海を泳いで逃げられないものか……と思ったが、そんなことあの女王だって分かってるはずだ。 
この首輪がある限り、この島からは逃げられないのだろう。 
……それに、そもそも自分は一度も泳いだことがないのだから、どちらにしても無理な話だ。 
「どうしよう……ここに隠れていたら、誰か頼りになるお方が来てはくれぬだろうか」 
とにかく、今は疲れているのでしばらくここで休憩したい。 
なにしろ重い荷物を持って長く歩いたことなど初めてのことだったから。 
その間に、誰か頼りになる方が現れてくれるように。そして悪い人が来ぬように。 
そう祈るかぐや姫であった。 

【G-9/医者の家】 
【かぐや姫@かぐや姫】 
 [装備]支給品一式、火炎放射器(荷物の中に入れてある)、解熱剤、鎮痛剤、止血剤[(各薬5回分ほどずつ) 
 [状態]疲労、しばらく休憩中 


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